資源・素材学会関東支部では,資源・素材・環境分野の明日を担う学生・若手の技術者・研究者が自由に議論し,互いに好奇心と知識をふくらませ,実りある意見交換を行える機会を提供することを目的として,『第18回「資源・素材・環境」技術と研究の交流会』を開催した.これは,学生の研究紹介を目的としたポスター発表と,企業側の企業紹介からなるイベントである.
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け,残念ながら昨年度に引き続き,今年度の交流会もオンラインで開催した.これまでは,関東支部に所属する教員が指導する学生のみ参加可能としてきたが,今年度からは全国に拡大した.出展企業等各社による企業紹介などもオンラインで行った.具体的には,2021年8月2日〜8月12日の11日間にわたりMMIJ関東支部のHP上にて,例年行っている企業紹介,学生及び若手研究者によるポスターセッションをHP上で掲載し,企業によるブースセッションの代わりには企業側のWeb会議システムを用いた交流を行った.
参観者は学生80名,大学の教員・研究機関の研究員17名,企業からは13名の計110名にご参加頂いた.このオンライン交流会では11社の企業説明概要と,学生からのポスター発表を44件掲載した.ポスター発表は,会場となる資源・素材学会関東支部HPにアップロードされたファイル(ポスター1枚と説明動画)を,参加者が交流会期間中に自由に閲覧できる形式で実施した.特に,今回は動画による発表もあり,HP掲載されているポスターと動画はオンデマンド形式にしたため期間中には自由に何度も見ることが出来た.なおポスター発表者には,学生ポスターセッションで3分間の説明時間を用意した.学生にとっては,自らの研究内容を企業や研究機関の研究員,他大学の教員などに説明し,フィードバックを得られる大変貴重な機会であり,有意義な時間となったと思われる.交流会のプログラムは表1の通りである.オンライン企業説明会は,開催する日時や募集人数などの情報(図1)をHPに掲載して参加者が閲覧できるようにした.ポスターセッションでは,大学・研究機関ならびに企業等からの参加者による投票に基づいて,4件の優秀ポスター賞(表2)を選出した.
今回は,多くの方からご好評いただいたとともに,改善すべき点についても貴重な意見を頂戴することができた。最後に,ご参加・ご協力いただいた出展企業,参加者,講演者,および実行委員の皆様,本交流会の準備等にご協力頂いたスタッフ各位に心より感謝申し上げます.
(文責 東京大学 福井勝則)
表1 交流会のプログラム
月日 | 時間 | 行事 | 会場 |
8月2日
〜 8月6日 |
10:00 〜 18:00 | 学生のポスター・発表動画の閲覧 | 資源・素材学会関東支部HP |
企業の紹介情報の閲覧 | |||
8月2日 | 13:00 – 15:00 | 学生ポスターセッション
一人5分(発表3分、試問2分) |
Webex(パラレルセッション) |
15:20 – 17:40 | 企業からの概要説明
1社12分×11社 |
Webex | |
17:50 – 18:00 | 閉会挨拶 | ||
8月3日 〜 8月12日 |
終日 | 企業説明会
(詳細なスケジュールは別途) |
各社がWEB会議システムを使用し開催予定。 |
表2 優秀ポスター賞一覧
1. |
転動容器の混合過程解析を目的とした液架橋力を考慮した離散要素法における粗視化モデルの適用に関する基礎的検討 古作 吉宏1),綱澤 有輝2),所 千晴1),3) 1)早稲田大学理工学術院 2)産業技術総合研究所 3)東京大学大学院工学系研究科 |
2. |
銅鉱石の浮選における黄鉄鉱の親水化機構解明を目的とした表面化学分析によるカルシウム二次鉱物評価 石田 紗菜1),薛継峰1),淵田 茂司2),青木 悠二3),諏訪 貴大3),島田 啓正3),所 千晴2),4) 1)早稲田大学大学院 創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻 2)早稲田大学理工学術院 3)住友金属鉱山株式会社 4)東京大学大学院工学系研究科 |
3. |
アノード電析法を用いたAu含有合金からのAuの選択抽出プロセスの開発 平松 大武,大内 隆成,岡部 徹 東京大学大学院工学研究科 マテリアル工学専攻 |
4. |
岩盤不連続面アスペリティ近傍の微小領域における応力状態の解明 長谷川 文悠1),才ノ木 敦2),福井 勝則1) 1)東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻 2)熊本大学 国際最先端科学技術研究機構 |
図1 企業説明会のスケジュールの掲載ページ