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【報告】第20回「資源・素材・環境」技術と研究の交流会

資源・素材学会関東支部では、資源・素材・環境分野の明日を担う学生・若手の技術者・研究者が自由に議論し、互いに好奇心と知識をふくらませ、実りある意見交換を行える機会を提供することを目的として、毎年夏に、「資源・素材・環境」技術と研究の交流会を行っている。20回目となる今年は4年振りの現地開催となり、2023年8月7日(月)の午後、学生48名、大学・研究機関17名、企業他から55名の計120名のご参加を頂いて、つくば国際会議場(茨城県つくば市)多目的ホールにて開催された。Web開催に慣れた4年振りの現地開催であり、かつつくば市での開催ということで参加者数が最後まで読めなかったが、関係各位のご尽力により、コロナ以前と同様の参加者数、ポスター発表数であった。当日のプログラムを表1に示す。

支部長(林)による開会挨拶の後、学生・若手研究者によるポスター発表を実施した。本年度の発表件数は53件であり、交替なしの85分間という限られた時間であったが、非常に熱心な意見交換の様子が見られた(図1)。学生の皆さんにとって、自らの研究内容を、初めて聴く他大学の教員や企業の方々を相手に短時間でポイントを踏まえて説明し、理解して頂くと共に、質疑にも的確かつ簡潔に答えるための良い訓練の機会となったならば幸いである。また、企業の皆様から、研究成果の実用化の観点からフィードバックを得られたことは大変貴重であった。同時に、企業の皆様にとっては、ディスカッションを通じて今時の学生の能力・気質を知る良い機会になったと考えられる。

ポスターセッションでは、本交流会実行委員(関東支部の大学・企業幹事)および大学教員による審査・投票に基づき、5件の優秀ポスター発表賞(表2)を選出した。受賞者には副賞として、資源・素材学会学生会員の年会費と、秋季大会(9/12~14、愛媛大学)への派遣費用が支給される権利が授与された。受賞者のうち4名が秋季大会に参加し、9/13のポスターセッションにて発表を行った。

続いて、会場ステージにて、ブース出展企業(民間10社、独立行政法人1法人)にそれぞれ5分間の紹介プレゼンテーションをして頂いた(図2)。どのプレゼンも短いながらも分かりやすい発表を心掛けており、学生の皆さんに各企業の魅力がよく伝わったと思われる。その後、各企業ブースにおいて20分間のセッションを4回実施し、学生は各回異なるブースを訪問し、自分の将来を考えながら熱心に話を聞いていた(図3)。ブースにおけるプレゼンも各社工夫を凝らした中身の濃い内容であり、学生のみならず他の参加者にとっても有意義な時間となった。

2つのセッションが終了した後、更なる交流を目的として、つくば国際会議場内大会議室にて意見交換会を実施した。初めに早稲田大学・大和田教授の乾杯の挨拶を頂き、しばし飲食・歓談の後、優秀ポスター発表賞の表彰式を行った(図4、5)。時間の経過と共に、学生と企業参加者の間で積極的なコミュニケーションが見られるようになった。対面での立食パーティー形式への参加は久し振りであり、コミュニケーションを取る上で面と向かって会話することの重要性を改めて認識した。最後に小山副支部長の閉会の辞をもって意見交換会を終了した。

今回、交流会を4年振りに対面で開催し、学生・若手研究者によるポスターセッション、企業によるブースセッション、更に意見交換会を通じて、双方にとって非常に有意義な機会となった。交流会を成功裏に終えられたことは、ひとえにご参加頂いた学生および企業の皆様、実行委員の皆様、会場準備等にご協力頂いた産総研スタッフ各位のお蔭であり、心より感謝申し上げます。

(文責 産業技術総合研究所 林 直人)

表1 プログラム

12:30 受付開始
13:00~13:05 支部長開会挨拶
13:05~14:30 学生・若手研究者によるポスターセッション
14:30~14:40 休憩
15:45~17:15 ブースセッション(20分間×4回)
JX金属(株)/住友金属鉱山(株)/(独)エネルギー・金属鉱物資源機構/東邦亜鉛(株)/DOWAホールディングス(株)/日鉄鉱業(株)/古河機械金属(株)/三井金属鉱業(株)/三菱マテリアル(株)/住友大阪セメント(株)/太平洋セメント(株)
17:30~19:30 意見交換会 (つくば国際会議場 大会議室)

表2 優秀ポスター発表賞受賞者

海洋性鉄酸化細菌の黄鉄鉱浮遊抑制能力と海水浮選への利用可能性 東京海洋大学・修士1 年・清水 佑馬
(指導教員:淵田 茂司)
ミネラルカーボネーションによる坑廃水発生抑制効果の実験的検証 ~水路試験によるアプローチ~ 東京大学・修士1 年・小手川 鑑
(指導教員:髙谷 雄太郎、所 千晴)
ヨウ素循環を目的としたケイ酸ジルコニウムのフッ素選択的吸着能の解明 千葉大学・学部4 年・河野 竜翔
(指導教員:和嶋 隆昌)
海洋性細菌によりセメント系材料表面に形成される炭酸塩鉱物について 東京海洋大学・修士2 年・鈴木 華
(指導教員:牧田 寛子)
Cu2O スラグの酸化反応に関する速度論的研究 早稲田大学・修士2 年・水内 俊貴
(指導教員:山口 勉功)

図1 学生・若手研究者によるポスター発表の様子

図2 ブース出展企業による紹介プレゼンテーションの様子

図3 企業ブースセッションの様子

図4 意見交換会の様子

図5 優秀ポスター発表賞受賞者