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第9回 若手の会

「第9回 資源・素材学会東北支部若手の会」
資源・素材学会東北支部若手の会 会長 木崎 彰久

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1.概要
【期日】平成28年度10月30日(日)・31日(月)
【会場】秋田芸術村温泉ゆぽぽ(〒014-1192 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430)
【参加者数】48名 (大学教職員:14名、社会人:4名、大学院生:19名、学部生:11名)

2.プログラム
10 月30日(日)
13:00-13:05    開会挨拶
支部長挨拶 東北支部支部長 井上 亮
会長挨拶   若手の会会長   木崎彰久

13:05-14:05     春季大会ポスター賞受賞者講演(3件)
秋田大学 中田翔 「鋼中アルミナ系介在物の組成変化機構に関する考察」
東北大学 青木飛翔「X 線 CT を用いた土壌における流動様式の可視化」
秋田大学 原田茂一「物理選別と化学的分離法を用いた廃電子基盤からのスズの回収と精製」

14:05-14:20     休憩

14:20 -15:20    若手技術・研究者講演(2件)
小川泰正 先生(秋田大学 国際資源学研究科)
「玉川温泉の中和と玉川水系・田沢湖の水質形成」
尾西恭亮 氏 (土木研究所 地質・地盤研究グループ)
「浅層物理探査の技術トレンド」

15:20-15:40     集合写真撮影・部屋鍵の配布
15:40-18:00     休憩・入浴・ポスターの貼付(17:00~)
18:00-19:00     夕食
19:00-21:00     ポスターセッション

10月31日(月)
7:00                朝食
9:00-9:30        若手技術・研究者講演(1件)
日隈康博 氏(DOWAメタルマイン㈱)
「DOWAメタルマインの事業紹介と学生へのメッセージ」

9:30-10:30      春季大会ポスター賞受賞者講演(3件)
東北大学 江川基樹「温度 450 ⁰C,封圧 30 MPa までの条件における稲田花崗岩への水圧刺激」
岩手大学 石井友也「3価のチタン酸化物を経由するイルメナイト鉱の高純度化法の実証研究」
秋田大学 鈴木誉也「高不純物粗銅アノードを用いた電解精製技術の開発」

10:50-11:50     現地見学会「田沢湖ビール工場見学」
11:50-11:55     閉会挨拶 秋田大学 高崎康志
12:00               現地解散

3.実施内容
1) 支部春季大会ポスター賞受賞者講演
 今年度の資源・素材東北支部春季大会で優秀ポスター賞に輝いた6名の学生による受賞講演が行われました。鋼中アルミナ系介在物の微細化のメカニズム、カラム溶出試験におけるカラム内卓越流路のX-CT観察による可視化、半導体基盤からの錫や銅のリサイクル技術の開発、脆性-延性条件下における稲田花崗岩中へのクラウド状き裂の造成、イルメナイト鉱からの高純度チタン材の製造法、攪拌や反転電解を用いたアノード不動態化抑制による高品位銅の精製法についての講演が行われました。それぞれが優秀ポスター賞の受賞者ということもあり、各研究について具体的かつ分かりやすい発表が行われました。関連分野の教員や社会人技術者からの専門的な質問やコメントに対しても、自信を持って受け答えしており、今後の学会発表でも活躍が期待されます。また、他分野の学生からは基礎的な質問も飛び出し、改めて基礎を見つめ直す良い機会にもなったかと思います。

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 2) 若手技術者・研究者講演
 若手技術・研究者講演として3名の講演者からの話題提供を頂きました。1件目は秋田大学の小川先生より「玉川温泉の中和と玉川水系・田沢湖の水質形成」についてご講演頂きました。日本一の酸性度、湧出量を誇る玉川温泉の特徴や田沢湖の酸性化ならびに環境修復の取り組みについて解説頂きました。また、これまでの調査の結果明らかにされた玉川水系におけるpHの変化やAs, Alなどの分布について、また堆積物中のレアメタルの資源としての可能性についてのご講演を頂きました。今回の開催場所である田沢湖に関連する講演内容でもあり、学生も大変興味深く聴講しておりました。2件目のご講演は、土木研究所の尾西氏より「浅層物理探査の技術トレンド」について、地球科学、石油、金属鉱山、土木の各分野における弾性波や電気探査等の物理探査手法の概要についてのご講演を頂きました。資源開発における探査は一般に数百メートル以深の大深度が対象である場合が多いが、近年、露天掘り鉱山において浅層物理探査技術の活用が検討されていることなどが紹介されました。また、近年の物理探査技術の高速化、精度向上、信頼性向上について、ビッグデータの分析手法も取り入れた最新の取り組みをご紹介頂き、学生のみならず教職員にとっても今後の研究活動において有益な講演となりました。3件目のご講演は、DOWAメタルマイン㈱の日隈氏より「DOWAメタルマインの事業紹介と学生へのメッセージ」についてご講演を頂きました。非鉄金属製錬における資源ネットワークのご紹介や秋田製錬、小坂製錬での製錬事業について、製錬フローチャートを用いて分かりやすく説明して頂きました。また、これまでの職種経験を踏まえて、現場情報の収集と解析の重要性について実例を交えながらご紹介頂くとともに、大学の研究室でのグループ活動や先輩とのコミュニケーションスキルが、現在の活動にも役立っていることなど、これから社会人になる学生に向けて暖かいメッセージを送って頂きました。以上、3件のご講演を通じて、資源・素材分野の多様性や活躍の場の広さを感じ取るとともに、この分野で活躍されている若手技術者・研究者を目指して学生がより一段と成長してくれることを期待いたします。

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3) ポスターセッション(発表件数:23件)
 夕食後に行われたポスターセッションは、参加した学生が前半・後半の2グループに分かれて、それぞれのコアタイムに発表する形式で行われました。ポスター会場には、隣のビール工場で作られたばかりの6種類の田沢湖ビールが用意され、地ビールを楽しみながら熱のこもったディスカッションが行われました。参加者全員の投票により、ポスター賞として以下の3名が表彰されました。なお、各賞には井上支部長、今井忠男先生、川村茂先生からのご寄附により豪華な副賞が贈呈されました。

井上支部長賞:東北大学 加藤 玄一郎
今井忠男賞:  岩手大学 小田嶋 侑
川村茂賞:    秋田大学 生沼 竜二

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4) 田沢湖ビール工場見学
 講演会終了後、会場に隣接する田沢湖ビール工場の見学を行いました。ビール製造の基本工程についての講義を受けた後、ビール製造工場を見学しました。田沢湖ビールの水は深度200mの井戸より採水しており、水源は和賀岳の伏流水であるとのことです。また、ろ過時に麦殻自体をフィルター材として利用していること、ろ過後の麦殻は肥料や牛の餌として無駄なく利用されていることなどが説明されました。なお、大手ビール工場ではビール製造工程の最後に珪藻土をろ過助剤として用いたろ過が行われているが、田沢湖ビール等の地ビールでは行っていないため、ビール自体に酵母が残っているとのことでした。プラントメンテナンス時の洗浄方法や原料の取扱い、廃棄物の再利用、処分方法など資源・素材、環境の視点から活発な質問が出され、有意義な見学会となりました。

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以上