関西支部 支部長 小池 克明(京都大学 大学院工学研究科 都市社会工学専攻 地球資源学講座)
秋季大会を京都大学桂キャンパスで開催しました2019年度に加えまして,今年度の関西支部長を仰せつかりました。ご存じのように関西支部の範囲は中部地方の西側と近畿,四国,中国地方の21府県に跨がり,日本全国47都道府県の半分近くもカバーするという地理的に広く,会員数も関東支部に次いで多いです。そのため,石灰石鉱山,製錬所,リサイクル工場など資源開発,素材加工・開発,環境・リサイクルに関連した企業,ならびに資源・素材関連の研究に取り組む大学・高専が多いことが関西支部の大きな特徴の一つです。別子鉱山,神岡鉱山など日本を代表する金属鉱山もかつては数多く稼行しており,カミオカンデに象徴されるようにその資産を新たな形態で先端研究に活用されています。鉱山を開発する中で得られました鉱石試料や地質情報,岩盤計測データなども大変貴重な研究資料であり,基礎研究分野での新規発見や海外での資源探査・開発に大いに資するものです。
このように人的資源と研究環境に恵まれ,資源・素材関連企業との繋がりも強い関西支部で,何よりも重要なことは活動の活性化です。これには資源・素材分野に興味をもつ若手研究者・技術者,学生を増やし,この分野の次を繋いでもらうことが不可欠です。若手へのアピール,若手増加の一助となりますように,従来の学生のための製錬現場研修会に今年度資源系が加わり,鉱山見学も含めた新たな取り組みを始めます。恒例の若手研究者・学生のための研究発表会,資源系若手シンポジウム,外国人研究者を囲む会もさらに充実するよう皆様と進めてまいります。
カーボンニュートラル・グリーン社会の実現が喫緊の課題になっている現在,地熱・水素を含む再生可能エネルギー,ベースメタル・レアメタル・レアアースという金属資源が発電,高機能材料,電子機器などに一層必要になり,需要が増加しています。この安定供給のために,これまでもこれからも社会と産業の根幹に位置する資源・素材分野の重要性は変わりませんし,新規資源発見の陸域での深部化,環境と調和した海底資源の開発,地球温暖化の影響増大などという難しい問題に直面する中で,一層重要になると考えられます。カーボンニュートラル・グリーン社会の構築に向けて,資源・素材分野でもまさに先端的研究と技術革新が求められています。このような状況のもとでの関西支部の発展,プレゼンス向上を目指しましてお力添えのほど,何とぞ宜しくお願い申し上げます。