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九州支部 2019(令和元)年度 総会・若手研究者および技術者の研究発表会・春季例会開催報告

九州支部では、令和元年5月31日(金)九州大学・伊都キャンパスにおいて、令和元年度総会・若手研究者および技術者の研究発表会・春季例会を開催した。若手研究者および技術者の研究発表会では、3セッション(素材系・資源系・環境系)計19件の講演があり、参加者45名で活発な議論が交わされた。発表者の中から、“Presentation Award, Kyushu MMIJ”に対して各セッションから2名ずつ計6名を選出し、表彰状と表彰金を授与した(九州支部表彰委員会)。春季例会における特別講演会では、九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門教授の中川昌美先生を講師とし、「資源としての月の砂レゴリス」と題してご講演頂いた。特別講演会は参加者51名、交流会は参加者26名の盛会であった。

期日: 2019年5月31日(金)
場所: 九州大学 伊都キャンパス ウエスト2号館 (〒819-0395 福岡市西区元岡744)

○「九州支部総会」(517号室) (13:00~13:45)

○「若手研究者および技術者の研究発表会」 (14:00~16:10)
資源系:A会場(517号室)
環境系:B会場(543号室)
素材系:C会場(322号室)
プログラムの詳細はこちらをご覧下さい。

○「春季例会」
講師:中川昌美先生(九州大学大学院工学研究地球資源システム工学部門 准教授
講演題目;「資源としての月の砂レゴリス」

★特別講演会要旨★
講演者:中川昌美 地球資源システム工学 教授
講演題目:資源としての月の砂“レゴリス”
月面には大気が存在せず、 数ミクロンの大きさのマイクロメテオライトが数十億年にかけて、月の表面に衝突して来た。その結果、月の表面は古い地形の“高地”で20 – 30 m、比較的新しい地形の“海”では2 – 8 m、最も新しいクレーターでは数cmの深さでいわゆる“月の砂”で覆われている。この月の表面を覆う砂のことをレゴリス“Regolith”と言い、50mくらいの大きさのゴツゴツとした感じの砂である。月のレゴリスはダストとも呼ばれ、アポロミッションでは視界不良、機械・装置可動部の動作不具合、表面コート、健康被害(吸入など)、ラジエータの機能低下、シールの不具合の原因、表面のすり減らしなどといった問題が報告されていた。NASAのアポロミッションでは、ダストは実に宇宙放射線に次いでミッションを継続する上での大問題であった。1972年のアポロ17号ミッション以降、アメリカは宇宙飛行士を月に送り込んではいない。そんな状況の中、中国が嫦娥4号を月の裏側に着陸させ、改めて月での有人探査および長期月面滞在の可能性が噂される。レゴリスは非常に細かく、電気を帯びやすく、磁石にもくっつくと言う厄介な性質を持っている反面、酸素、水、金属の原料でもあり、居住施設の建築材料になりうる。この講演ではアポロ17号ミッションより47年経った今、次世代の宇宙飛行士の長期月面滞在を可能にするには、レゴリスを資源として理解することの重要性を様々な角度から 検討する。

写真1 九大・中川昌美先生による特別講演会「資源としての月の砂レゴリス」

 

写真2 「若手研究者および技術者の研究発表会」受賞者5名(1名授賞式欠席)と金子支部長および佐々木審査委員長」