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九州支部長あいさつ

次世代のレジリエンス社会を導く総合工学の強化を

令和3年度 九州支部長

笹木圭子(九州大学 教授)

九州支部は、本学会のなかでもとくに100年以上の長い歴史を重ね、資源と素材の間にあるあらゆるテクノロジーの開発研究と教育に携わってきました。諸先輩から引き継いだ鉱山工学は、総合工学の一分野として、地球資源システム工学となり現在に至っています。機械工学、電気電子工学、化学、生物学、統計学を精緻に組み合わせた総合工学は、近年頻発している突発的な災害やパンデミックの難題にも、柔軟かつ機動的に英知を集めた解を求められます。
昨年(2020年)初めより続いている COVID-19 の世界的流行により社会・経済活動が大きくダメージを受けています。昨年に引き続き今年も、春季大会、秋季大会はWeb 開催となりますが,このシステムは、実行委員の多大なるご尽力の上にはじめて実現しているもので、この構築されたシステム自体もまた学会として大きな財産となっていくと思います。未曽有の危機ではありますが,短期的な対応のみにとらわれず,わが国が世界に遅れている デジタルトランスフォーメーション(DX)や人工知能(AI)の推進の好機ととらえ,総合工学を支える学会の一つとして積極的に情報発信していくことが重要と考えます。これまで本学会では,バーチャルマイニング、地下空間の強度や温度などの物理パラメーターのシミュレーション、酸性鉱山廃水の処理パフォーマンスの長期的シミュレーションなど、それぞれの研究者が柔軟に情報科学の手法を取り入れてきましたが、マテリアルズ・インフォマティクス(MI) 時代への期待は、総合工学者とくにSDGsに大きく貢献するリサイクル工学の研究者にも新鮮な魅力を与えているように見えます。こういうものを可能とする異分野融合のハードルが総合工学では比較的低いことも特長です。

学会の将来構想委員会でも議論されている30年後のSDGsを支えるテーマを軸に、人材育成も含め,産官学が一堂に会して自由に議論する場として学会を大いに活用して頂きたいと思っております。さらに現在の九州における活動で重要な位置を占めている国際シンポジウムCorporative International Network for Earth Science and Technology (CINEST)は、毎年約12カ国から200名を超える参加者が集うプラットフォームに成長しました。コロナ禍では海外での国際学会の舞台を踏むことが叶わない状況にあっても、ハイブリッド方式により、多くの海外参加者を維持し、地球資源工学分野の次世代を担う若手の発表機会として、また資源国と非資源国日本をつなぐ絆として欠かせないものとなりました。

副支部長や幹事の方々,そして本部の事務局職員の協力のもと,会員の皆様が楽しく活発に情報交換できる研究活動の場として,資源・素材学会が発展するよう尽力する所存ですので,ご支援ご協力を賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。