2023年11月20日
資源・素材学会 学会長期テーマプロジェクト 第2期
資源・素材産業の新しい展開および発展と弊会(MMIJ)の活性化を目的として、学会長期テーマの研究プロジェクト (PJ)を2021年に立ち上げました。このPJは若手研究者をリーダーとする3年間の研究であり、資源・素材分野の画期的な手法や技術の開発によって、20年後の低炭素社会、資源循環型社会、および持続可能な社会の発展に大きく貢献することを目指します。PJでは既存の枠にとらわれない自由な発想で3年間の基礎研究を行い、手法・技術開発に繋がる成果を出すことが必要となります。2023年度は第1期の最終年度になります。第1期PJでは「低環境負荷での非鉄ベースメタル(銅、鉛、亜鉛)を中心とした新しい資源開発、製錬およびリサイクルプロセスの実現と、それらを基礎とした資源・素材産業の発展」を目標として研究提案を募集し、7件の課題が採択されました。いずれも順調に研究が発展し、当初の目標に沿った成果が得られつつあります。
第1期PJの概要に「今後もさらに高まるグローバル競争の中で、日本の資源・素材産業の技術力をより高めて、人材を育成しながら、MMIJのメンバーが一丸となって、SDGsへ貢献することが必要不可欠です。本PJでは、資源・素材分野の新しい課題を学側に落とし込み、基礎研究の重要性を再認識するとともに、各自の方法論を持ち込んで、次世代資源・素材学の礎を築くことを目標とします。」とありましたが、第2期PJでもこの方針を継続します。ただし、第1期では「“銅、鉛、亜鉛を中心に持続可能な社会を支える2040年頃(20年後)の非鉄産業のあるべき姿”を考える。」と非鉄産業への貢献を中心とした課題でしたが、第2期では資源・素材産業全般へと対象を拡げ、「“持続可能な社会の発展を支える20年後の資源・素材分野での実用化技術”を究める。」をテーマとします。
持続可能な社会の発展のためには資源、素材は欠かせず、今後どのように資源を確保し、効率的に利用でき、高機能で低炭素の素材を生み出せるかにその発展は大いに依存します。しかし、金属・非金属・エネルギー資源の需要は急増し、今後も需要は増加することが見込まれています。一方で鉱石品位の低下や鉱床開発深度の増加、これに伴うコストとリスクの増加、資源価格の高騰などの問題も顕在化し、新規鉱床の発見も難しくなっています。資源探査の対象として海底の重要性もますます増加し、早期の開発実現も望まれます。さらに、資源開発、製錬、リサイクルの工程では地球環境との調和、低炭素化が一層求められます。これらに対して、急速に進展しているAI技術、IT技術、バイオ技術、無人化操作技術、あるいは宇宙探査技術なども資源・素材分野でさらに活用することも有効と考えられます。このような背景の下、第2期では20年後に実用化され、持続可能な社会の発展を支える資源・素材分野での技術に関する研究提案を募集します。具体的な研究テーマは例示せず、さまざまなアプローチからの提案を期待しています。本PJを通し、新しい資源・素材産業技術の海外輸出・技術供与、資源の安定供給、新しい資源の利用などで日本の未来を支えるMMIJでありますように、学会がさらに活性化、発展しますことを願っています。
本PJでは、資源・素材産業の発展に資する萌芽的および基礎的研究を支援し、関連分野の若手人材の育成および科学技術の展開への貢献を目指します。第2期ではMMIJの部門委員会グループに合わせ、「地球・資源」、「プロセス・素材」、「環境・リサイクリング」の3領域を設定し、各領域に該当する研究提案を公募により募集します。若手研究者の皆様には、奮ってご応募いただきますようご案内申し上げます。なお、一般財団法人日本鉱業振興会様には助成金で本PJをご支援いただいております。
資源・素材学会副会長
総括リーダー
京都大学工学研究科 教授
小池 克明
“持続可能な社会の発展を支える20年後の資源・素材分野での実用化技術”を究める。
3つの領域に共通して挑戦的で、斬新かつ変革性を持った研究テーマを広く公募し、将来の資源・素材分野を牽引する研究テーマを支援します。各領域でのキーワードを下記に示しますが、これらはあくまでも一例であり、これに限定せずに関連分野を広く含みます。理論、実験、計測、シミュレーションのいずれも研究のベースとすることは可能ですが、将来的に技術開発・社会実装に繋がることを念頭に置いて研究計画を立てて下さい。領域が2つに跨がる場合には、メインとサブの領域をそれぞれ選んで下さい。
領域1「地球・資源」
資源生成のメカニズム、資源探査、地殻開発、CO2削減・固定・利用、深海底・宇宙資源、再生可能エネルギー、国際協力、資源経済など
領域2「プロセス・素材」
金属製錬、レアメタル、新素材、無機素材全般の製造・利用、分離精製工学、乾式プロセッシングなど
領域3「環境・リサイクリング」
資源循環・リサイクル、湿式プロセッシング、環境修復、資源利用の効率化、環境材料、LCAなど
上記課題およびプロジェクト概要のもと、以下内容にて公募を行います。
■公募要項(MS-Word形式)
2023年11月20日(月)~2024年1月21日(日)
応募者(代表者)は、2023年4月1日時点で45歳以下の日本の教育機関または公的研究機関に所属し、日本国内で研究に従事する者(准教授、助教、ポスドク、および指導教員との連名での博士後期課程学生)であること。
応募は一人一件。同一研究室からの複数応募は可能。
応募者(代表者)は、資源・素材学会会員であることが条件です。
資源と素材分野の将来を見据えた大テーマに基づく各領域テーマに関した調査、試験、研究および開発
原則3年以内。ただし本会の判断により助成金額の増減、期間の短縮・延長、助成の打ち切りをする場合があります。
3領域で計5~7件程度
所属機関でのオーバーヘッド分を含め、3年間で各研究プロジェクト総額の上限は1,000万円。また、各年度の上限額は500万円。
研究等に直接必要な費用および所属組織の必要最低限の間接経費に充当することとします。研究者の人件費(臨時雇用の研究補助者等の費用も含む)には充当可能。
研究助成金の交付方法は、原則として、助成実施者が所属する組織に対する特定指定寄附の形とします。共同研究者が別の組織に所属する場合は、複数の組織に交付することは可能です。
研究助成金の交付期間は、原則として本会理事会での決定後、7月~12月31日までの間とします。研究実施者は、速やかに助成金受領のために助成金交付の手続き(奨学寄附受付窓口の連絡等)を行って下さい。
研究助成金の交付を受ける際、研究実施者(応募者および共同研究者)は、次の事項を遵守下さい。
学会長期テーマプロジェクトの第1期公募要項および採択課題は、本会WEBサイト以下URLにて公開しております。
https://www.mmij.or.jp/other/mmij-pj
一般社団法人 資源・素材学会 事務局
〒107-0052 東京都港区赤坂 9丁目6-41
TEL 03-3402-0541 FAX 03-3403-1776
E-Mail:info(at)mmij.or.jp