一般社団法人資源・素材学会 第78代会長 笹木圭子
(九州大学大学院工学研究院 教授)
(2023年3月31日 定時社員総会にて)
本日の理事会にて,資源・素材学会の第 78 代会長に任命されました九州大学の笹木でございます。2023 年度の会長就任にあたり一言ご挨拶を申しあげます。
資源・素材学会は 1885 年の設立にはじまり,138 年の歴史と伝統を重ね,資源・素材分野の学術と産業の発展に貢献してまいりました。このたびその会長の任を拝命することとなり,責任の重さをあらためてかみしめております。三菱マテリアル(株)代表取締役 小野直樹様および京都大学教授 小池克明先生に副会長としてご就任いただき,幹部としてともに力を合わせて学会運営を進め,時々刻々と変化する社会背景やニーズに調和したものとしてこの学会をさらに発展させていきたい所存です。
本日まで会長をつとめられました住友金属鉱山(株)技術顧問 朝日弘様のもとで,九州大学教授 中野博昭先生とともにこの 1 年間副会長として学会運営に携わってまいりました。思えば,わたしは 2015 年度第 70 代会長 前田正史先生の下で副会長をつとめ,それ以来編集委員長(2018~2020 年度)や九州支部長(2016,2021 年度)としてここ 8 年あまり理事会を通じ学会運営に深くかかわる機会をいただいてまいりました。2020 年初めより 8回におよぶピークを繰り返しているコロナ感染症流行を境に,春秋大会,理事会,各種委員会はオンラインで行われ,2022 年秋にはようやく対面での学会が条件付きで実現しました。だれも予測しなかった時空間的規模のコロナまん延,さらにはロシアによるウクライナ侵攻長期化によって,国際関係,物流,経済が大きくダメージを受け,学術の潮流までもが変化を余儀なくされていることに驚きをおぼえます。持続的な循環型社会を支える鉱物・エネルギー資源分野の役割が今ほど問われていることはかつてなかったと思います。
世界的パンデミックの渦中,資源・素材学会では,この激動期の前の 2018 年度に 30 年後の SDGs を支えるテーマを軸にした「将来構想計画」をまとめ,これにそって歴代会長が中心となり,春季・秋季大会,編集・出版,表彰,人材育成,国際対外交流の各事業を推進し,支部活動,部門委員会活動もこれを支えてきました。学会長期テーマとして採択された第一期の 7 件のテーマは今年最終年度を迎えます。採択テーマに対してシニア研究者からのご指導や大学を超えた討論を重ね,第二期はさらに質の高い研究提案が出現することを期待しています。また,研究の主力となっている博士課程に留学生が大きな割合を占めてきたことや,資源国と日本との関係強化などに鑑み,編集・出版事業では,学会誌の国際的プレゼンスを高める手段として Journal of MMIJ の Scopus 掲載,さらにはインパクトファクター獲得をめざして動き出しています。さらには,日本鉱業振興会と協力して,大学や研究所と産業界の交流を風通しの良いものとし,研究成果の社会実装および資源・素材分野を支える人材の持続的輩出に努めてまいります。
副会長や理事の皆様,そして本部の事務局のご協力のもと,産学官の会員の皆様が楽しく活発に情報交換できる研究活動の場として,資源・素材学会が発展するよう尽力する所存ですので,ご支援ご協力を賜りますようどうぞ宜しくお願い申し上げます。