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第72代会長-大和田秀二

一般社団法人 資源・素材学会  第72代会長  大和田 秀 二
(早稲田大学理工学術院 教授)


(2017年3月28日 定時社員総会にて)

資源・素材学会の第72代会長会長を務めます早稲田大学・大和田と申します。
岡田前会長が,昨年度,「Copper2016」を大成功に導いてくださり,その後を引き継ぐのは非常に身の引き締まる思いです。この伝統ある格調高い資源・素材学会の会長が私立大学から出るのは,私の恩師である第46代会長の原田先生以来です。会長一人では大変心もとないところですが,強力なお二人の副会長として,産業技術総合研究所の田中様,住友金属鉱山株式会社の土田様のお力を借りて,共にこの伝統ある資源・素材学会がより発展するように,この一年間,努力をしてまいりたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

まずは前会長・前副会長のお二人に御礼を申し上げたいと思います。
「Copper2016」を大成功に導き,そして,その黒字分を今後の資源・素材学会の発展のために使わせていただけるということも伺っており,JX金属:岡田様の功績は非常に大きいものであったと思います。また,前副会長の東京大学:月橋先生ですが,「Copper2016」の成功にももちろん貢献されましたが,折に触れて的確かつ合理的なアドバイスをいただき,この学会を正しい方向に導いてくださった影の立役者だと考えております。誠に有難うございました。

これからは私と2名の副会長,そして合計20名の理事でこの1年間,資源・素材学会を運営していきたいと思っておりますが,私が本年度やりたいと今感じていることを2つのキーワードで示させていただきたいと思います。

一つは「国際化」です。
これは古臭い言葉ですが,資源・素材学会で真の「国際化」が出来ているだろうかと考えた時,私は多少の疑問を持たざるを得ません。私は18歳の時から43年間この学会を末席から見ておりましたが,国際化の速度は他学協会より若干遅れているように感じます。欧米の技術開発を追いかける時代はすでに終了しており,今や切磋琢磨する時代に入っておりますが,今後,日本には新たな役割が課せられているように思います。
それは,発展途上国への支援と協力です。パリ協定が締結され,このことが今後の世界の持続的発展に大きく影響することになります。特に,わが資源・素材分野はこの課題解決において不可欠の分野です。わが学会が途上国の今後の発展にいかに貢献できるか,そうした意味での「国際化」・国際貢献をぜひ学会として進めてゆきたいと思っております。その中で特に中心となるのは,東アジア,東南アジア,そしてアフリカ。こうした国々の学協会との強い連携を築き上げてゆくことが重要と思います。

二つ目のキーワードは「連携」です。
今も申し上げました国際的な連携の強化は当然ですが,ほかに三つの連携を強調したいと思います。一つ目は国内他学協会との連携強化です。先ほど,岡田会長はわが分野が「絶滅危惧種」とおっしゃいました。私も随分前から自嘲的にその言葉を使っておりますが,実は,資源・素材学会で行われていることは,決して絶滅危惧種的ではありません。今後,いろいろな学協会と連携・協調することで,わが分野の重要性を多くの方々に知って頂きたいと思います。
そして次は,産学の連携です。これは昔から皆様も重視してきたことですが,最近,特に資源・素材分野にてその芽が膨らんできたと感じております。これは産の方々のご理解によるところが大きいのですが,少なくとも非鉄8社と学の両者が率直に意見交換できるプラットフォームをぜひ年内に立ち上げたいと考えております。
最後の連携は,学会内の連携です。本学会がこれまで述べたような役割を果たすには何よりも資源・素材両分野の強い連携・一体化が必要です。現在,本学会内には13の部門委員会がありますが,それらの連携を更に強めてゆきたいと思います。必要に応じて,それらの統廃合も視野に入れております。

以上のように,国内外を問わず色々な意味で各種の連携を深めることによって,我々の分野を日本にそして世界に広く発信し,それによって今後の持続的発展に貢献できればと考えております。

もちろん,只今申し上げたことは当然この1年でできることではございません。ただ,この1年間でその何某かの切っ掛けとなるような動きをぜひ行いたいと思っております。
皆様,ご協力のほど,よろしくお願いいたします。